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いまだ絶えない象牙の密猟

いまだ絶えない象牙の密猟

2016年1月、海外の報道機関が「不正な象牙取引」の一例として、ヤフージャパンの「ヤフーオークション」が取り上げられました。ヤフーオークションでは、象牙の売買は「不正なものでなければ自由」に行うことができます (当記事を執筆している2017年2月現在、このポリシーは変更されていません)。では、何が問題なのか、象牙の歴史も含めて考えてみましょう。

象牙の歴史

象牙の歴史
象牙の歴史

象のキバである象牙は、その美しさから工芸品や装飾品の素材として高く評価され、貿易されてきました。象牙の工芸品としては、仏教やキリスト教の聖人や僧侶などをかたどった置物、ブレスレット、イヤリング、ペンダントといったアクセサリー、箱などの器の一部にアクセントして使用されたり、面白いものでは麻雀牌として使われることもありました。現在の日本では、象牙の印鑑は簡単に買うことができ、他の素材の印鑑と比べて高額であることで知られています。

象には大別して、アジアゾウとアフリカゾウがいますが、アジアゾウの象牙は、中国、朝鮮半島、日本、東南アジアで貿易品として珍重されてきました。アフリカゾウの象牙は、ヨーロッパや中近東で珍重されるなど、西洋、東洋問わずに長らく愛されてきたものです。アフリカ大陸の西海岸に「コートジボワール」という国がありますが、この国名はフランス語で「象牙海岸」という意味です。アフリカゾウの「産地」であったため、アフリカゾウの象牙をヨーロッパ向けに輸出する貿易業が盛んであったことから名づけられています。

なぜ象牙が規制されるのか

なぜ象牙が規制されるのか
なぜ象牙が規制されるのか

規制の原因は、象の数が減っていることです。例えば、アフリカゾウを例にとると、象牙が高額な貿易商品となることから乱獲が進んで、多くの国ですでにアフリカゾウが絶滅しています。そして、現在も密猟は続いており、個体数は減り続けています。
また、もう一つ原因があります。「トロフィーハンティング」と呼ばれる「ゲームとしての狩猟」を行う狩猟者からすると、大きいゾウを仕留めたというのは、大きな勲章となるのです。よって、「ゲームとしての狩猟を楽しむためにゾウを仕留める」ハンターが大勢いるのです。

ゾウのような動物を、人間による乱獲から絶滅を防ぐために作られたのが「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」ですが、長いので条約締結国が署名した場所であるアメリカの首都・ワシントンの名前を取って「ワシントン条約」と呼ばれています。この条約はは、「レッドデータブック(RDB)」という絶滅の恐れがある野生動物について国連、ならび日本では環境省が取りまとめた内容に従い、絶滅危惧種に関しての狩猟ならび取引を禁止・制限しています。象牙も取引の禁止対象になっています。日本は1992年にワシントン条約を締結しているので、当然、象牙の取引が禁止される、はずなのですが。。。

結局のところ不正かどうかは分からない

結局のところ不正かどうかは分からない
結局のところ不正かどうかは分からない

日本は、象牙の印鑑に大きな需要があるため、「ワシントン条約締結以前に取得した象牙に関しては対象外」という扱いをしています。そして、「象牙の密猟・密輸と、日本における象牙取引は関係ない」というのが、日本政府の公式見解です。よって象牙を輸入・販売するのは、「ワシントン条約締結以前に取得した象牙」であれば、全く問題ないのです。

しかしながら、「その象牙がいつに取得した象牙か」を厳格に調べることなく、国内で流通しているのが実際のところです。つまり、事実上何の制限もないのです。このため、多くの国は日本を非難し、象牙の取引をやめるよう訴えてきています。日本と同じ立場に立つ国は、象牙をおおっぴらに輸出して儲けたいアフリカの一部の国だけです。

これまで、中国が世界の象牙の過半数を購入しているとされてきましたが、中国では2017年に、香港では2021年に国内取引が禁止されるため、象牙取引がおおっぴらに許可されており、今後も規制の予定がない大国は日本だけとなりました。

ヤフージャパンは、アメリカのヤフーよりも、日本のソフトバンクの資本が多く入っているため、「日本政府の公式見解に従う」という立場から、ヤフーオークション上での象牙取引を制限していません。このため、海外のメディアから強い批判を受けているわけです(アメリカのヤフーと、ヤフージャパンの違いを詳しく理解している人は多くないので、「ヤフーは日本で象牙取引の抜け穴を作っている」と理解されてしまうのです)。

この問題は、クジラの問題に近いと言えるかもしれません。日本の文化であるクジラ食とクジラ漁、そして同じく日本の文化である象牙の印鑑、これに対して個体数の減少から取引(クジラ漁)の停止を主張する世界の多くの国々、といった構図です。どちらが良い、悪いと断言できる話ではありませんが、あえて、当サイトではこのように思うという見解をお伝えします。

まず、そもそもゾウが絶滅してしまったら、象牙も取れなくなるのだから、象牙の取引は制限したほうがよいのではないかと思います。そして、「ワシントン条約以前に取得した象牙」という取引のための口実、フィクションのウソ臭さを突き通すのは見苦しいと感じるのは私だけでしょうか?

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