エコナウ

環境問題ニュースメディア。エコナウは環境問題に役立つ情報を配信し、「今」エコを考え、取り組む企業や個人を応援します。

福島で行われている「除染」とは何か?

福島で行われている「除染」とは何か?

2011年の東日本大震災で、福島第一原子力発電所の付近は、放射性物質が漏れだしたため、現在も「避難指示区域」に指定されているため、住民が住めない状態になっています。そして、こうした地域では、「放射性物質による汚染を取り除くための活動=除染」が行われています。

除染、と一言でいいますが、放射性物質の除染とはいったい、どのような活動でしょうか。確認してみましょう。

福島で問題になっている放射性物質とは

福島で問題になっている放射性物質とは
福島で問題になっている放射性物質とは

放射性物質も、セシウム、プルトニウム、ウラン、ヨウ素など色々あり、そしてこれらはさらに細分化されるのですが、福島で問題になっている放射性物質は3つです。

・ヨウ素131 (半減期:約8日)
・セシウム134 (半減期:約2年)
・セシウム137 (半減期:約30年)

半減期とは、発生した物質の半分が自然に分解されて自然界に帰っていくまでの期間です。例えば、半減期が1日の物質が100あれば、1日後には50に減少しているということです。この半減期が短い物質であればあるほど、早くになくなり、長い物質であれば、なかなかなくならないわけです。

上記の、ヨウ素131は8日で半減期が8日と短いので、長期的な影響はありません。セシウム134も、半減期が2年なので、こちらも長期的な影響はありません。問題なのは、半減期が30年もかかるセシウム137です。よって、一般的に「除染」と言われる作業は、このセシウム137を取り除くために行われているわけです。

除染作業とは何をやっているのか

除染作業とは何をやっているのか
除染作業とは何をやっているのか

では、「放射線物質の汚れを取り除く=除染」という作業は、いかにして行われているのでしょうか。

まず、特性として「セシウム137」を目でみて確認することはできません。福島第一原子力発電所は、原子力事故としては旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故と同等の、最も深刻な事故でした。つまり、「原発事故により、目に見えない放射性物質が、原発の周辺地域にばらまかれた」わけです。

もし明日、あなたの街に放射性物質が降ってきたら、と想像してみてください。放射性物質は、目に見えませんし、臭いもしません。これが原子力発電者事故、ならび放射性物質の恐ろしさです。福島第一原子力発電所近くの住民は、大きな地震の後に、まさにこれを体験したわけです。

目に見えない、臭いもしない物質を取り除くためには、まずは、どの地域に放射線物質がまき散らされたかを知ることです。福島第一原発から30km離れた場所でも、地形や当時の風向きなどにより、多く放射性物質が飛ばされた地域と、そうでない地域があります。どの地域に放射線物質が多いかは、政府の調査により公表されていますので、これが頼りになります。

そして、作業開始です。除染作業とは、基本「あらゆるものから、放射線物質を取り除く作業」となります。例えば、地面(土壌)や、樹木(森林)、建築物などがあります。

例えば、土の地面(土壌)であれば、表面の土を削り取ったり、表面の草などを刈り取る、高圧洗浄することになります。樹木(森林)であれば、葉を刈り取るといった方法です(木を全て切り倒すのは労力的に無理)。除染、という言葉を聞くと、何か特別なことをやっているように聞こえますが、実際に行われていることは、非常に地味なことなのです。

除染は何故「問題」と言われていることがあるのか

除染は何故「問題」と言われていることがあるのか
除染は何故「問題」と言われていることがあるのか

除染については、複数の観点で批判があります。いくつかあげてみたいと思います。

1.経済合理性
広範囲の除染を行うには、膨大な費用(主に人件費)がかかります。これだけの除染を行うことと、同じ金額を別な国家的政策課題(例えば、少子化問題、高齢化問題、医療費の問題、国防など)に充てるのと、どちらが合理的なのかという批判があります。また、除染が完了する目途は明確に立っていないため、「いつまで税金を突っ込み続けるのだ」という批判は常にあります。

2.除染作業者の健康
除染作業は機械ではなく人が行います。もちろん、防護服を着て作業し、何時間作業したかを厳格に計算し、作業者が強い放射線物質がある環境で長時間働かないようにしている建前になっています。しかし、本当に時間が厳格に管理されているかは、現場に任されているため、正しく運用されていない場合は除染者の健康が害される危険があります。

3.反社会的団体の資金源
暴力団の取材を長年続けいているジャーナリスト、鈴木智彦さんは、実際に除染作業者として現場に潜入して取材を行い、除染作業者の人集めに暴力団が暗躍していることを明らかにしました(鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文芸春秋)。いくらお金になるからとはいえ、健康を害する危険がある作業に志願する人は多くありません。人集めに困っているところを、暴力団が独自ルートで人をかき集めてきて、大きなビジネスとなっています。

4.除染作業の効果
除染作業は、上記のように地味な作業を膨大にやることなのですが、これが本当に効果をあげているかどうかは、部外者は調査しようがありません。本当に、セシウム137を取り除くことができていて、かけた費用の分だけ除染が進んでいるのかどうかは、政府の情報を鵜呑みにするほか、正直なところ誰にも分からないのです。

そして最も大きな批判がこちらです。

5.除染をして本当に人が戻ってくるのか
除染する意味は、除染をして再び安全な場所を取り戻せば、人が戻ってくる、再び街が作られるという前提があってこそです。しかし、今回の被災地は過疎地で高齢者が多かったこともあり、数年後、数十年後に除染が完了しても、高齢者の多くはこの世を去っているでしょう。そして、この地域で育った若い人は、この地を後にして別な地域で暮らすことを余儀なくされていますが、新たに仕事を見つけて、新しい土地で暮らしていくことでしょう。そうした人たちが本当に戻ってくるのか。誰にもわかりません。もし、誰も戻ってこない土地をひたすら除染しているとしたら、無駄な作業にお金を突っ込み続けたことになります(数十年放置すれば、セシウム137はなくなるわけですから)。

(参考リンク)
除染・放射能Q&A

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

私が取り組む環境問題

More

おすすめ記事

Return Top