
日本に住む人であれば、誰もが知っている会社の一つ、NTTドコモ。携帯電話事業では、長年1位を続けており、2位と3位のKDDIならびソフトバンクの加入者数とその伸びを見る限り、今後もNTTドコモの1位は安泰のように思えます。こうした安定した事業基盤があるため、2015年度の経常利益はナント7780億円という巨額に上っています。
利益が潤沢にあること、そして長らく愛され使ってもらうことが重要となるインフラ企業であることから、NTTドコモは環境問題に独自の取り組みを続けています。
自社事業における環境問題への取り組み

企業における環境問題への取り組みは、環境保護団体に寄付金を出せばよい、というものではありません。NTTドコモグループ全体として、日々の業務において、環境への負荷を軽減するための活動を考え、業務の流れを変え、業者を選定また変更していく、という継続的な努力を行っています。
まずドコモが行っているのは、太陽光発電のためのパネルの設置、ならびLED照明の導入です。どちらも節電を目的に行われており、2016年3月時点で、太陽光発電パネルは70店舗、そしてLED照明の導入は2,000店舗で行われています。
太陽光で発電した電力を店舗の中で使っているのか、それとも政府の「固定価格買取制度」で売却しているのかは不明です。かなりの導入金額がかかる太陽光パネル導入、これも巨額の利益があるからこそできることですね。
また、LED照明も、投資の回収には数年はかかるのが一般的です。これも照明を1個、2個交換するわけではないので、相当な金額がかかっているはずです。2000店舗ということは、NTTドコモのショップの大半ということになります。規模が違いますね。
次に、サイクルシェアリングシステムの提供があります。これは、将来の事業化、またはIoT (Internet on Things、モノのインターネットへの接続) 事業のためのデータ収集という目的がありますが、自転車は排気ガスも不要で地球にやさしいので、一石二鳥と言えるものです。
最後に農業分野です。農業におけるIT導入はこれまで遅れているとされていましたが、通信機器の小型化により、多くの企業がチャンスを見出して参入しています。ドコモは「スマート農業」という名前で、「農作業記録」「作物管理」「水田管理」「リモートカメラ」「畜産管理」等を統合的に行うためのサービスとデバイスを提供しています。効率的な農業が実現するということは、同じ土地から多くの収穫があがる、少ない肥料で生産できるといった効果があり、地球環境にも、農家・畜産業者にも、そしてNTTドコモのビジネスにもメリットがあります。
携帯電話の下取り・リサイクル

NTTドコモでは、携帯電話やスマートフォンを下取りしています。例えば、2年間使ったiPhoneを持って行って、新しいiPhoneを購入するとき、古いiPhoneを数千円から数万円で下取ってくれます。このプログラムにより、あなたが使っていたiPhoneが「中古iPhone」として、主に海外で新たに使われることになります。ごみにならずに再利用されるので環境にやさしく、そしてあなたも下取りを行うことで下取り金額が割引になる、というみんなが得する制度です。
再販価値がない携帯電話・スマートフォンについては、NTTドコモショップで回収を行っています。みなさんは「都市鉱山」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。スマートフォン、携帯電話、パソコンといった電子機器には多くの貴重な金属が使われています。これらを取り出して加工すると、再び金属として使える形になります。「鉱山ではなく、都市に金属が埋まっている」ことから、都市鉱山と呼ばれています。ドコモは年間400万台前後の携帯電話・スマートフォンを回収しており、再び資源として利用されています。
社員による環境保護活動

NTTドコモは、本社は東京ですが、北海道から沖縄まで全国各地にショップや営業所があります。よって、全国のNTTドコモグループの社員が環境保護活動できるように、全国49箇所に「ドコモの森」を設置しています。育った樹木を伐採し、新しく木を植える活動を行うことで、山や森林が適切に保たれ、災害を防ぐ役割を発揮してくれるのです。
環境保護団体に寄付金だけ出して、「環境保護活動をしています」というよりは、グループの社員の幅広い協力で環境保護がなされているという取り組み、とても素敵だなと思います。
NTTドコモの環境保護活動は、会社が大きく、そして利益も潤沢であることから、とても大きな規模で行われています。もちろん、小さい会社やご家庭がこうしたことを同じように行うことはできませんが、「こういうことであれば、自分もできそうだ」という点があれば、ぜひ皆さんの会社や家庭で取り入れて行ってみてください。小さな努力の積み重ねが、大きな違いを生むのです。
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