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北海道にはなぜ花粉症がない?

北海道にはなぜ花粉症がない?

突然ですが、管理人は北海道生まれ、北海道育ちです。テレビで花粉症の話題が報じられるたび「本州に住む人は花粉ごときで何と大げさなことを言っているのか」と思いながら育ちました。その後、関東に住み始めてからようやっと「花粉症は深刻な国民病なのだ」ということを知りました(ちなみに、関東に住みはじめてちょうど10年後に、自分も花粉症を発症しました)。

そもそも花粉症はなぜ起こる?

そもそも花粉症はなぜ起こる?
そもそも花粉症はなぜ起こる?

さて、北海道について説明する前に、そもそもなぜ花粉症が起こるのか、改めて考えてみましょう。「花粉症」という言葉が一般的ですが、日本で起こる大半の花粉症については「スギ花粉によるアレルギー」というのが正しいです。

かつての日本ではスギの木は多くありませんでした。スギの木(針葉樹)ではなく、ケヤキ、カエデ、ナラといった広葉樹が一般的でした。しかし、第二次大戦後に、人々の生活状態が改善され、乳児死亡率が低下し、人口が増加すると、こうした広葉樹の木材は住宅用としてどんどん使われていきました。そして、「今後も住宅用として多くの木材が必要となる」「木材は育つのに何十年もかかる」ことから、これまで広葉樹があったところに新たに木を植えて育てることが計画されました。広葉樹は育つのが遅いため、スギを代表とする針葉樹が選ばれ、日本中に植樹されていきました。

しかし、日本が先進国になった後、状況が変わります。人件費の高い日本の木材よりも海外から輸入してくる木材のほうが安いのです。経済性を考え、こうした輸入木材が一般的になると、「将来使われるだろう」と植樹された木がたくさん余ります。こうした木が成長しても切り倒されず、花粉をばらまいている。これが花粉症の第一の問題です。

第二の問題ですが、花粉症は花粉だけでは発症しないと言われています。人間社会で暮らす上で避けられない排気ガス、粉塵、またはタバコといった物質があるおかげで花粉症になりやすいという状況があります。環境省は、2003年に「大気汚染と花粉症の相互作用に関する調査研究結果」という研究報告を出していますが、「動物実験で、ディーゼル排気がアレルギー症状を悪化させる実験結果が得られた」と報告しています。

大量に植林されたスギ、そして人間社会で暮らす上で避けられない化学物質、汚染物質、この2つが結びついて花粉症が深刻化しています。

なぜ北海道に花粉症がないのか?

なぜ北海道に花粉症がないのか?
なぜ北海道に花粉症がないのか?

北海道で花粉症が「ない」というのは、実は間違いです。北海道はスギが少ない代わりに、シラカバが多く自生しているのですが、このシラカバ花粉で花粉症を発症する人がいます。しかし、「北海道におけるシラカバ花粉症罹患の割合」は、「本州におけるスギ花粉症罹患の割合」と比べると非常に少ないため。花粉症がない、と一般的に見なされています。実際に私は、20年以上北海道で暮らしたのですが、シラカバ花粉症を発症している人に、一人も出会ったことがありませんでした。

ちなみに北海道で植林された木(人工林)の多くはトドマツ、カラマツと呼ばれる木になります。寒さに強く、北海道でもよく育つということで、北海道全域で広範に植林されました。しかし本州では、トドマツ、カラマツのような寒い土地で育つ木を植えるメリットがなかったため、スギが選ばれたのです。なお、北海道の中では比較的暖かい函館周辺では、スギが植林され、「道南スギ」というブランドで販売されています。

日本を北海道にすれば花粉症がなくなる?

日本を北海道にすれば花粉症がなくなる?
日本を北海道にすれば花粉症がなくなる?

スギで苦しむ北海道以外の地域は、北海道の真似をすれば花粉症がなくなるのか、という質問には、「はい」と「いいえ」が混ざった回答になります。

スギ花粉の原因となっているスギの木を全て切り倒して、トドマツやカラマツをいった木を植林すれば、花粉症の原因の大部分はなくなると推測されます。よって、物理的には「ほとんどなくなります」という回答が正しいです。

しかしながら、これが現実的に可能か、というと別問題になります。スギの木は、花粉症を起こすので大変に憎まれていますが、スギの木は木材となる以外にも、土砂災害を防ぐという役割も果たしています。よって、花粉憎さからスギの木を全て切り倒したりなんかすると、大雨が発生した時の土砂災害が急増することになります。

また、かかるコストも大変な問題です。何十年かかって立派に育ったスギの木を切り倒し、それを運ぶのは大変な金額がかかります。そして短期間で大量にスギの木を伐採したとして、その木をどう使うかも考えないといけません。使い道がなければただのゴミになってしまいます。

また、林業に携わる人の生活も重要な問題です。スギの木を大量に伐採するという国策が始まると、税金が投入されてスギの木が大量に市場に供給されることを意味します。つまり、国内の木材相場が大きく崩れる、いや大暴落するといってよいでしょう。林業にたずさわっている人たちは、木を育成、伐採、販売して生計を立てているので、相場が暴落すると木材の販売価格が暴落し生活できなくなります。

このようないくつもの問題があるため、政府としても何千万人が花粉症で苦しんでいる事実がありながらも、大きな手立てを取れない状況にあります。よって、政府による花粉症対策に期待するのではなく、「花粉症に非常に効果のある薬の開発」といった、技術開発の進歩に期待する方がまだよさそうです。

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