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石油より水が高い国はどう水を確保しているのか?

石油より水が高い国はどう水を確保しているのか?

私たちは、普段意識せずに石油を使っています。車に乗る乗らない、バスに乗る乗らないだけではありません。誰でも必ず使っている石油は「電気」です。電気は「水力発電」「火力発電」「原子力発電」「再生エネルギー発電」のいずれかで作られているのですが、全ての発電の10%程度は「石油を原料とした火力発電」で賄われているのです。

ご存知の通り、日本では石油をほとんど産出していないため、海外から石油を輸入、つまり石油タンカーで輸送しています。輸入先は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ロシア、カタール、クウェートなどです。当然、多額の費用がかかっています。しかしながら、中東の多くの国では、日本とは違い「原油より水が高い」と言われています。これはどのようなことなのか、見てみましょう。

石油より水が高い=俗説だがある意味正しい

石油より水が高い=俗説だがある意味正しい
石油より水が高い=俗説だがある意味正しい

まず、「石油より水が高い」という話は綿密な研究に基づいた話ではなく、俗説として語られています。これは、「川や湖といった水資源に恵まれない国が、飲み水を確保しようとすると、淡水の入手コストが非常に高い」ことと、それとは真逆に「既にある油田からは、大量の原油が黙っていても噴き出てくるので、原油の入手コストが非常に安い」という事実の対比です。

世界史で「メソポタミア文明(チグリス・ユーフラテス文明)」という言葉を習ったことがある人は多いと思います。これは、現在のイラクとその周辺を流れるチグリス川とユーフラテス川の周辺地域の平野部が文明として栄えたという話です。これは、川がある=水がある=飲み水があり、作物を育てられる=人々がそこに住んで生きていける、から文明と呼ばれるようになりました。メソポタミア文明は、他の「エジプト文明(ナイル川)」「インダス文明(インダス川)」「黄河文明(黄河)」と合わせて4大文明と呼ばれていますが、全て大規模な河川があって初めて文明となっています。

しかしながら、イラクを除く中東の他の地域は全く水に恵まれていません。例えば、サウジアラビアは国土の大部分で、1年の降雨量が100mmを下回っている砂漠地域・乾燥地域です。アラブ首長国連邦も同様ですが、沿岸部にある国であるため、地下水は塩分濃度が高いという問題が生じています。さらに、中東のほとんどの地域では、人口増が続いており、毎年必要な水の量は増加しています。水を得ることは、人々の生存に直結するので、膨大な費用をかけて水の確保に努めています。

水を確保する方法

水を確保する方法
水を確保する方法

次に、多くの水資源に恵まれない国では、どのように水を確保しているかについて見ていきましょう。

1.地下水
内陸部でよく用いられる方法です。砂漠や乾燥地帯であっても、地表の下、奥深くには多くの地下水がある場合があります。この地下水をくみ上げて、浄水して水道水として供給する方法です。この方法は内陸部でよく機能しますが、沿岸部だと機能しません。それは、沿岸部だと、地下水に海水が混ざってしまうことで、地下水の塩分濃度が高くなってしまうためです。塩分濃度が高いと、次にあげる淡水化プラントを使って、塩分を取り除く必要があります。

地下水は他の方法と比べると、安価に水を入手できる方法です。しかしながら、地下水は無限にあるわけではありません。地下水をくみ出しすぎると、地下水が枯渇してしまうためです。よって、常に他の方法と組み合わせながら、くみ出す水量の管理を適切に行う必要があります。

2.淡水化プラント
淡水化プラントとは、海水を取り込んで、蒸留させるなどして塩分を取り除いて、飲み水とする方法です。淡水化プラントは、より大規模かつコストがかからないような方法を見つけるべく、日々研究開発が行われています。淡水化プラント全体の運営を行い水道供給までやる会社もあれば、淡水化プラント単体を作る会社、また淡水化プラントの中の重要な部品だけを作る会社など、関わる企業は数多くあります。日本企業も、重工メーカー、機械メーカー、商社だけでなく、地方自治体の水道局などもビジネスチャンスと見て、既に参入してきています。

こうした企業にとっては、中東は大きな市場です。しかし、中東の国々からすると、こうした企業のおかげで確保できる水量は増えるものの、淡水化プラントへの依存が高まると、水のコストが高くなってしまう、というジレンマを抱えています。

今後の中東と水資源

今後の中東と水資源
今後の中東と水資源

中東は今後も人口増が続くと見られていますが、河川の量や本数が増えたり、地下水の量が増えるわけではありません。そうすると、淡水化プラントを使って、より多くの海水を淡水に変える必要がでてきます。現在は地下水に比べて大幅にコストが高い淡水化プラントのコストが、技術の進歩によりどこまで下がるか、が中東の水資源の将来を決めている、といって過言ではありません。

よい兆しとしては、水ビジネスが大きなビジネスだと考える国、企業の参入が相次いでいることです。参入が増えることは、技術の進歩の速度を速め、また競争によりコストが圧縮される方向に向かいます。10年後、20年後には、現在の処理コストを大幅に下回る淡水化プラントが、中東の多くの国で稼働しているようになっている、そんな未来を祈りたいと思います。

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