エコナウ

環境問題ニュースメディア。エコナウは環境問題に役立つ情報を配信し、「今」エコを考え、取り組む企業や個人を応援します。

国民生活センターが水素水の何に怒ったのか

国民生活センターが水素水の何に怒ったのか

2016年に一気にブームが拡大した、ナントカ水の最新版である「水素水」。当初から効果について疑問を投げかけていた人は多いものの、「伊藤園」「パナソニック」「シャープ」といった大手企業が水素水ビジネスに参入したため、「そうか、水素水は健康に良いのか」と水素水を購入、また水素水を作る水素水サーバーを購入した人も多いようです。

この水素水ブームの急所をえぐったのが、「独立行政法人国民生活センター」です。独立行政法人とは、かつては「特殊法人」と呼ばれていた官公庁の外郭団体、国営企業です。では、国民生活センター=日本国が、水素水について怒った理由とは何だったのでしょうか。

国民生活センターとは

国民生活センターとは
国民生活センターとは

国民生活センターは1970年に設立された法人で、消費者庁の管轄法人となっています。1970年は、高度経済成長がほぼ終わったが、オイルショックを迎える前なので、まだ高い経済成長が続くと考えられていた時期です。高度経済成長は人々の生活を豊かにして、車や家電を購入できるほどに所得を引き上げ、生活が一気に楽に、そして自由になった時期でした。しかしながら、企業の自由な経済活動による経済成長を重視することは、消費者の生命身体健康を後回しにすることも意味しました。1950年代と1960年代には、公害や薬害(サリドマイド薬剤による奇形児)、有害物質が含まれた食品(森永乳業が製造した粉ミルクにヒ素が混入していた事件)が多発したため、こうした問題を見過ごしてきたことによる反省から設立されています。

多くの主要官庁や独立行政法人が「企業寄り」「産業振興寄り」ですが、この「国民生活センター」は徹底して消費者寄りの立場を貫いており、数ある独立行政法人の中でも高く評価されている団体と言えます。

国民生活センターの水素水についてのリリース

国民生活センターの水素水についてのリリース
国民生活センターの水素水についてのリリース

2016年12月15日に「容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」-「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です- 」という発表が国民生活センターのホームページに掲載されました。そして、名指しされた各社の反応を含めた更新版リリースを2017年1月20日に公表しています。

国民生活センターの指摘しているポイントは明確です。

1.販売されている水素水の濃度は、メーカーが公表しているものと異なっている場合がある。調べてみたところ、多くのメーカーで実際の水素濃度より濃い濃度を公表していた。

2.メーカーの広告には「悪玉活性酸素を無害化する」「アトピーにかゆい部分を水素水につけてください」など、医薬品医療機器等法、健康増進法、景品表示法などに抵触する記載があった。

3.水素水メーカー自身、水素水を飲むことで期待できる効果について、最も多い回答が「水分補給」という回答だった。

4.自社の水素水製品、また水素水サーバー製品で作られた水素水の機能について調査研究しているメーカーは約半数しかいなかった。

これをまとめて簡単に説明しますと、「多くの製品で水素水濃度表記が間違っている。そして、水素水の効果は『水分補給(普通の水と一緒)』であるとメーカー自身が回答しているのに、『活性酸素の除去』『アトピーに効く』といったことを謳っている」ということです。

国民生活センターからすると、「水素水の効果は水分補給、つまり普通の水道水と同じなのであれば、あえて高額な水素水や水素水サーバーを購入する必要がない。水素水は、ありもしない効果をアピールして、消費者をだましている」と取れるわけです。国民のために地道で真面目な調査活動を続けている国民生活センターからすると、これはもう「激怒り案件」なわけです。

実際、国民生活センターの発表後に、水素水の販売を取りやめた企業、水素水の製品をリニューアルした企業、水素水製品の売り文句をざっくり削った企業などが多数あることから、国民生活センターの報告が正しかったことが裏付けられています。

水素水は今後どうなる?

「さすがに水素水業者もこれで懲りただろう」と思っていた矢先、近所のスーパーでこのような商品を見かけました。

メイトーから発売されるミルクde水素
メイトーから発売されるミルクde水素

この商品を作っている会社は、「メイトー」ブランドで乳製品などを販売している「協同乳業」という会社ですが、まさか「水素水」の次は「水素ミルク」だったとは。。。

この商品「ミルク de 水素」は、「水素を含有したミルク」ではなく、「お腹の中で水素を生成する働きがあるミルク」だそうで、「水素含有商品ではありません」と表記されています。

結局やっていることは他の水素水業者と同じ
結局やっていることは他の水素水業者と同じ

しかし、「水素が健康に良い」と消費者を誤解させて、通常より割高の牛乳を販売しているわけですから、他の水素水業者と同じです。

このように、水素水が指摘されたら、今度は水素ミルクだったり、「水素含有ではなく、水素を体内で作ります」と話をこねくり回したりして、「効果はないのに、健康イメージをアピールして、高額商品を販売」しようとし続ける企業は後を絶ちません。

また、水素水は2016年のブームの際に「水素水で何となく健康になった気がする」と勘違いしているファンを一定数掴んでいます(こういう人たちは、アルカリイオン水とかマイナスイオンとか、飲むヒアルロン酸など、科学的根拠が貧弱な商品に騙される人たちです)。よって、日本から水素水とその関連製品がなくなることは当面ないでしょう。売り上げ規模が小さくなったとしても、それが商売であり続ける限り、効果のない商品を「あたかも効果がありそうにアピール」することで、販売を続けていく倫理観ゼロの企業は山ほどいるのです。私たちにできることは、「簡単に健康になれる商品」が販売されたら、ウィキペディアなどのサイトでそれが科学的に裏付けがあるのかどうかを確かめてみることです。

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

私が取り組む環境問題

More

おすすめ記事

Return Top