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水質汚染を考える 2017年版

水質汚染を考える 2017年版

社会科の授業で、「田中正造」という名前が出てきたことを、皆さんは覚えていますでしょうか。栃木県と群馬県を流れる足尾銅山から銅を算出する際に、河川に銅の化合物が硫酸が排出されたとされ、その結果河川流域に住む多くの住民の健康に影響がでた事件です。田中正造は、そうした状況に業を煮やして天皇に直訴を行った政治家です。

この足尾銅山鉱毒事件が起こったのは、現在からおよそ130年前となる1880年代です。江戸幕府が崩壊し、明治新政府ができたが、日本はまだ極東の後進国だった時代です。外国の植民地となることを防ぐために、住民の健康を考えるよりも、銅を算出して国が豊かになることが重視されていました。個人の健康や権利よりも、国の発展が優先される状態です。

日本は先進国になって以後、国民の健康や権利を守るために、水質汚染を防ぐための法律が多数制定され、現在では近隣住民の健康が著しく害されるような水質汚染は起こっていません。しかしながら2017年になっても、経済発展のために国民の健康や権利がないがしろにされ、水質汚染を事実上許容している国が多数あります。以下では、そうした発展途上国で、どのような水質汚染と被害が起こっているかについて、例を挙げてご紹介いたします。

水質汚染の原因とは

水質汚染の原因とは
水質汚染の原因とは

水質汚染は、「人間が原因で起こったもの」と「人間が原因でなく起こったもの」の2つに分類されますが、一般的には「人間が原因で起こったもの」が取り上げられます。その原因は多数ありますが、一例として次のようなものがあげられます。

1.鉱山からの有害な金属排出
鉄鉱山、石炭鉱山、銅山などから金属を算出する際に、近隣の河川に重金属が流れ込み、その河川の水を引用した住民に被害が出るという例です。足尾銅山鉱毒事件が有名です。

2.工場からの有害な物質排出
工場から有害な物質を含んだ排水が河川や海に流れ出ることで、その河川の水を引用したり、近隣の海や川で捕れた魚介類を食した人に被害が出るという例です。水俣病が有名です。

3.家庭からの有害な物質排出
炊事・洗濯・トイレなどで利用した水(生活排水)が下水道から排出される。この水は下水道処理施設で害がないように処理されているが、十分な下水道処理施設がない国では、生活排水が海や河川を汚染する原因となっている。

4.農地からの有害な物質排出
肥料や農薬を含む農業廃水は、農業排水処理施設で浄化されてから、海や河川に排水されています。しかし、一部の国では農業排水処理施設が十分に整備されておらず、排水がそのまま海や河川に排出されている例もあります。

5.産業廃棄物の不適切な処理による水質汚染
産業廃棄物処理業者が、手間とコストを節約するために、収集した産業廃棄物をそのまま河川に廃棄することによる水質汚染。現在ではこうした事件は減少していますが、多くの河川で「不法投棄禁止」と書かれた看板を見ることができます。

水質汚染の実例

水質汚染の実例
水質汚染の実例

2016年にアメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、中国の過疎地の水質汚染について検証を鳴らす記事を発表しています。

  • ・地下水の80%は、飲用水、また入浴用の水として適切でないほど汚染されている。
  • ・汚染の原因は工場からの排水、そして農業排水が原因。特に重金属による汚染が深刻。
  • ・イギリスのイースト・アングリア大学のDabo Guan教授は、「都市住民は毎日大気汚染を目にしているが、水質汚染については毎日目にする機会がないため、汚染に気が付いていない」と指摘。
  • ・中国の地下水の消費量は、1970年代の570億立方メートルから、2009年には1100億立法メートルと、約2倍に急増。
  • ・中国政府の調査によると、約半数の井戸水は「水質が悪い」、そして36%の井戸水は「水質が著しく悪い」とされている。合計で80%以上の井戸水で水質汚染が確認されている。

日本は、第二次世界大戦後の高度経済成長期に、深刻な公害を多数経験しました。しかしながら、経済成長が最優先されていたため、経済成長に貢献する企業や工場の生産をストップするのではなく、場当たりの対応を繰り返してきました。そして、公害問題の多くが解決を見るのは1970年代になってからでした。

中国で起こっているのはこれと同じことです。経済成長を優先するために、個々人の健康と権利を犠牲にしています。一部の日本人が「中国政府がいかにひどいことを国民にやっているか」と主張していますが、実際のところは、「発展途上国であれば程度の差こそあれ、どこでも見られる光景。日本でも同種の事件はたくさんあった」のです。

水質汚染の今後

水質汚染の今後
水質汚染の今後

一般的に、産業がまるでないような最貧国では深刻な水質汚染は起こりません。むしろ、発展途上国が経済成長を始めた段階以後で、水質汚染の深刻化が起こります。多くの鉱山が操業し、多くの工場が設立され、そして多くの農地が開拓されていくためです。そして、経済成長と水質汚染を並行して経験した後に、経済的に豊かになると、水質汚染対策を取りだす、というのが日本も経験してきた「非常によくあるパターン」です。

よって、将来的には、現在深刻な水質汚染が起こっている経済成長国は、ある程度の成長を遂げた時点で水質汚染対策に注力し、自国内の水質汚染を減少させると考えられます。逆に、現在最貧国と呼ばれる国々は、経済成長の軌道に乗るにしたがって、新たな「水質汚染国」として顔を出すことになるでしょう。

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