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クジラを守る過激派団体シーシェパードとは

クジラを守る過激派団体シーシェパードとは

日本やノルウェーといった国々は、捕鯨文化とクジラ食を守るために捕鯨を続けています。捕鯨国は「クジラの個体数は増加している、よって調査捕鯨は問題ない」と主張し、捕鯨をしないその他の国々、特に先進国は「クジラの個体数は増加していない、よって調査捕鯨の数量を減らす、または調査捕鯨自体を取りやめるべき」と主張を続けています。このような状況は数十年と歩み寄ることなく続いていますが、これに業を煮やしているのが過激な環境保護団体です。その筆頭として上げられるのが、「Sea Shepherd Conservation Society」、通称シーシェパードと呼ばれる団体です。

シーシェパードとは

シーシェパードとは
シーシェパードとは

シーシェパードは、1977年に設立されたアメリカのワシントン州に本拠地がある環境保護団体で、現在もトップを務めているポール・ワトソンにより設立されました。日本語で「シェパード」というと、「シェパード犬」のことを思い浮かべますが、英語のshepherdは「羊飼い、(そこから転じて導くという意味で)牧師、指導者」という意味があります。シーシェパードは、「海のシェパード犬」という意味ではなく、「海の環境保護を導く団体」という意味合いが正しいです。なお、シーシェパードが活動する対象は、クジラの保護に限ったものではありません。シーシェパードの最初の直接行動は、1979年にカナダにてアシカ・アザラシ漁に対する抗議活動でした。

環境保護団体で世界的に最も有名で資金力があるとされているのはグリーンピースですが、グリーンピースは豊富な資金力を調査や啓蒙活動に充てています(グリーンピースは2008年に日本で、調査のために違法にクジラ肉を持ち去る事件を起こしていますが、このような直接行動は例外的です)。調査・啓蒙活動がメインのグリーンピースとは対照的に、シーシェパードは集めた寄付金を使い「直接行動」、つまり捕鯨を力づくで阻止させるための行動を行っている点が大きな違いとなります。なお、シーシェパードの創設者ポール・ワトソン氏はもともとグリーンピースの幹部であり、直接行動をめぐる路線対立のため、グリーンピースを去り、その直後にシーシェパードを設立したという経緯があります。よってグリーンピースより過激な活動になるのはある意味当然です。シーシェパードの活動があまりに過激であり、捕鯨船の人命を危険にさらすリスクがあるため、シーシェパードは批判者から「エコテロリスト」とも呼ばれています。

シーシェパードのミッション・ステートメント(理念)には、「私たちの使命は、生態系と種を保護・保全するため、世界の海洋における生息地破壊と虐殺を終わらせること」と記されています。そして説明書きとして「シーシェパードは、海洋での違法な活動を暴露し、対決する必要がある際に、調査、記録、措置を講じるため、革新的な直接行動という戦術を用います」とあります。では、この直接行動とは何でしょうか。

シーシェパードの直接行動とは

シーシェパードの直接行動とは
シーシェパードの直接行動とは

シーシェパードの直接行動とは、その資金力を生かして直接的に、シーシェパードが「生息地破壊と虐殺」だと認定した活動を止めようとすることを指します。具体的には以下のような活動があげられます。

・調査捕鯨船の船体に穴をあける
・海上で捕鯨用ネットを押収し破壊する
・調査捕鯨船に酪酸などの強い臭いがする有害な液体を投げつける
・調査捕鯨船への発砲
・鯨食品工場の破壊

「それって犯罪ではないか?」という行為を多く行っているのが、この直接行動の特徴です。「海洋資源の保護のために、人命や法律を軽視しているのではないか」といった批判が、シーシェパードを「エコテロリスト」と批判する人たちの多くからなされているのは、まさにこうした活動の危険性、違法性から来ています。

なお、シーシェパードは一方的に攻撃を仕掛けるだけではありません。彼らの攻撃は、自分たちの生命身体を危険にさらして行っています。例えば、アシカ・アザラシ漁を行う人たちに対して直接行動を行った結果、彼らから襲われ命からがら逃げた、という事件もあります。また、捕鯨船を攻撃するだけでなく、逆に物を投げつけられるなどの反撃を受けることもあります。

シーシェパードの支持者

シーシェパードの支持者
ラッシュ (LUSH) がシーシェパードを支援していることは、日本でも有名です。

正しいか正しくないかは議論が分かれるところですが、シーシェパードはお金のためではなく、自らの理念のために命を懸けていることは疑いないと言えます。よって、シーシェパードの直接行動主義には、多くの批判が集まる一方、多くの支持も集まっています。

シーシェパードを支援している有名人としては、俳優のマーティン・シーン、ブリジット・バルドー、クリスチャン・ベール、ピアース・ブロスナン、ダリル・ハンナ、ショーン・コネリー、ショーン・ペンなどがいます。また、ロックグループのボストン、グレイトフル・デッド、サードアイ・ブラインド、レッドホットチリペッパーズも支持を表明しています。化粧品販売企業であるラッシュ (LUSH) がシーシェパードを支援していることは、日本でも有名です。

シーシェパードの今後

ポール・フランクリン・ワトソン
画像:ポール・フランクリン・ワトソン(Wikipedia)

シーシェパードの今後を考えるうえで、1つの示唆となるのが、創設者ポール・ワトソン氏の年齢です。現在 (2017年5月現在) 66歳のワトソン氏ですが、年齢を考えるとあと20年、30年と現役で活動を続けることは難しいでしょう。こうした非営利団体は、みなお金儲けのためではなく、理念のために集まってきます(非営利団体と創設者は、宗教団体と教祖に近いものがあります)。創設者がみなぎるパワーで理念のために突き進む姿を見て、「彼、彼女についていこう」と思う人たちが集まり、団体の推進力になるのです。創設者以上のパワーとカリスマを持つ人は、一般的には表れません。

よって、ワトソン氏が現役を引退する、また死亡することを契機に、カリスマ的指導者が押さえていた問題が一気に噴出し、団体としての力は落ちていくのではないかと思われます。これは多くのNGO団体、宗教団体がたどってきたのと同じ道です。そして、幹部らが対立の結果、シーシェパードを離脱して新組織を作るなど、かつてワトソン氏とグリーンピースの間であったことが再現されるのではないかと思われます。

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