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電力自由化とは何か

電力自由化とは何か

「電力の小売り全面自由化」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。これまでは発電所で電気を作る「発電」、発電所で作った電気を家庭やオフィスまで届ける「送電」、そして電気の「販売」を全て同じ会社で行っていました。しかしながら、2011年の東日本大震災を機に、電力をめぐる体制が大きく変わっていったのです。

日本の電力の垂直統合・地域独占はメリットが大きかった

日本の電力の垂直統合・地域独占はメリットが大きかった
日本の電力の垂直統合・地域独占はメリットが大きかった

かつて、発電、送電、そして電気の販売を過疎地までくまなく行う代わりに、地域独占を許されていたのがいわゆる「九電力体制」「十電力体制」。すなわち、東京電力、関西電力、中部電力、北陸電力、四国電力、中国電力、九州電力、東北電力、北海道電力、そして沖縄復帰後は沖縄電力です(沖縄復帰前は「九電力体制」で、復帰後は「十電力体制」になっています)。

「電力は現代社会に不可欠で、安定供給が必要なので地域独占が重要。そして地域独占の代わりに、過疎地にも電力を供給するし、安心安全の発電を行う。そして電気代を無理に引き上げたりしない」というのが電力会社の言い分でした。これはある意味正しい内容でした。というのも、発電所を作るには巨額の投資が必要です。巨額の投資をして発電所を作ったのに、電力会社が乱立して価格競争が激しくなってしまえば、電力設備が生かされずに会社は経営危機になります。また、電力会社間で過当競争が起こった場合、電力の安定供給に問題が出る可能性があります。

今では、電力が当たり前に供給されていて、停電になることなどほとんどありませんが、世界的にみるとこれは非常に貴重なことなのです。ここに至るまでは、発電、送電ネットワークの整備に巨額の投資がなされてきました。よって「発電・送電・販売の垂直統合ならび地域独占はメリットが大きかった」のです。

電力自由化の大波をかわした十電力体制

電力自由化の大波をかわした十電力体制
電力自由化の大波をかわした十電力体制

地域独占という安定した経営基盤に支えられた電力会社は、「公務員より安定していて、仕事が楽で、そして給与や福利厚生が良い理想の職場」とまで言われました。地域独占であるため東京に住んでいる人は、東京電力しか選択肢がありません。競争が皆無の状況が長らく続きました。

そこに大波がやってきます。それは、「電力自由化」という言葉です。発電、送電、販売を地域独占で1社がやっていることにより、最終的な消費者(電力を使う個人や企業)がつけを払っている、と言う内容です。つまり、諸外国に比べて電力料金が高いのは、十電力体制が原因だ、電力に競争を持ち込んで電気代を下げようという声です。この声は特に90年代後半に強くなりました。

この状況で、ある種の理想形として語られた企業がアメリカの「エンロン」という会社です。エンロンは、発電した電力を売りたい人と、電力を買いたい人が電力を売買するための市場を運営する企業で、10兆円以上の売上高を誇る大企業でした。市場を運営するかたわら、世界中に発電所を作り新興発電業者として各国の電力市場に参加している、ある種の黒船だったわけです。

垂直統合と地域独占を脅かされてはたまらない、ということで、エンロンのような自由化に対して十電力は必死に反対します。しかし、特に電力を大量に消費する企業は「地域独占の十電力体制のために企業の競争力が損なわれている」などと論陣を張り、電力自由化を推し進めようとします。

そして、こんな最中に起きたのが「エンロン事件」です。エンロンの収益のほとんどは、会計上の見せかけだけで作られており、これに経営陣が深く関与し、そして監査法人も見抜けなかったという世界的大事件です。この事件により、電力自由化は「大波」から「小波」となり、結果大口企業向けの販売のみ新興電力会社が販売可能、という部分的な自由化が実現しました。といっても、新興電力会社の市場シェアは数パーセント台前半に留まっていました。

3.11が変えた電力自由化

3.11が変えた電力自由化
3.11が変えた電力自由化

2011年に起こった東日本大震災、そして付随して起こった福島第一原子力発電所事故は、「日本の原子力は安全」ではなかったことが証明されてしまいました。この事件により、福島第一原子力発電所の事故の補償に当たる東京電力の経営体制だけではなく、十電力体制全体に疑問符が投げられました。その結果、エンロンと共にやってきて、エンロンと共に去って行った電力自由化の波が再びやってきます。そして、個人向けの電力まで含めた自由化、つまり「販売」の分離が完成します。東京電力が発電ならび送電した電力についても、他の企業が販売することが可能になったのです。

これまで電力は電力会社から買うしかありませんでしたが、別な販売会社から購入することで、数パーセントは電気代が下がると言われています。数パーセントとはいえ、簡単な手続きでリスクはほぼなしで電気代が下がりますので、複数の企業を比較して検討してみてはいかがでしょうか。

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