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水道水を飲める国では、水が美味しい、美味しくないという問題はあるものの、水自体の安全性を疑う人はそう多くないはずです。しかし、もし知らず知らずのうちに、水道水にプラスチックが混入していたら、と考えるとかなり怖いものがあります。今回は「水道水にプラスチックが混入している」件、そして体内に取り込まれるプラスチックについて見ていきましょう。
ジャーナリズムサイトOrb mediaの報道から

2017年9月に、ジャーナリズムサイトであるOrb mediaに「見えないもの:我々の中のプラスチック」という調査記事が掲載されました。この中には、インドのニューデリーといった「水道水を飲めない国」だけでなく、アメリカ・ニューヨークのような「水道水が飲める国」の水道水からもプラスチックの繊維が検出されたと報じています。
Orb mediaは以下の地域で、水道水にプラスチック繊維が混入していると報じています。
・全世界:83%
・アメリカ:94%
・ヨーロッパ:72%
・ジャカルタ(インドネシア):76%
・ニューデリー(インド):82%
・ベイルート(レバノン):94%
・カンパラ(ウガンダ):81%
・キト(エクアドル):75%
これらのプラスチック繊維は非常に微細なものです。「プラスチック」ではなく「プラスチック繊維」と呼ばれるほどの大きさで、通常はナノメートル単位で測定されるごくごく微細なものです。しかし、体内に入るとプラスチックは分解されず、リンパ節などの器官に移動して害を引き起こす可能性があるのです。
では、どのようにプラスチック繊維が大気中、または水中にて拡散されているのでしょうか。Orb mediaでは、プラスチック繊維の発生源として、以下の6つを上げています。
- 洗濯機の中の合成繊維
- タイヤの粉塵
- 塗料
- 二次マイクロプラスチック(プラスチックごみ)
- 大気中の合成繊維
- 洗顔料や化粧品のマイクロビーズ
この2つの発生源から生じるプラスチック繊維はごくごく微細なもので、もちろん肉眼で捉えられる大きさではありません。だからこそ、知らず知らずのうちに微量ずつ生産されていっているのです。
そして、二次被害として食物連鎖から人体に取り込まれるプラスチックがあります。例えば、河川や海中に放出されたプラスチック繊維を体内に取り込んだプランクトンや小魚を食べて育った魚を私たちが食べた場合、プラスチック繊維をまとめて体内に取り込んでしまうことになります。
私たちが取り得る対策

究極的には「石油製品を一切使わない」世の中になれば、プラスチック繊維の問題は解決します。しかしながら、石油由来の製品に囲まれて暮らしている中、いきなり理想の姿にたどり着くことは難しいです。よって、日々の暮らしの中でプラスチック繊維を体内に入れない、また発生させない努力が求められています。Orb mediaでは、以下の7つの方法を紹介しています。
- ビニール袋をもらわない
- ストローを使わない
- フリース着を頻繁に洗わない(洗うたびにプラスチック繊維が出るため)
- 石油由来の成分で作られた歯ブラシを使わない
- 塗料を使う際はブラシと塗料成分に気を付ける
- ペットボトルを使わない、買わない
- 自家用車より、公共交通やカーシェアを
上記の7つを完璧に守ることは難しいものの、少しでも気を付けるだけでプラスチック繊維、特にあなたの生活環境におけるプラスチック繊維を減らすことができます。結果として、自身や家族の体内に取り込まれるプラスチック繊維も減らすことにつながります。
7つの対策を日本流に行ってみよう

最後に、上記の7つの対策を日本流に行うことは可能か。以下で見てみましょう。
対策 | 方法 |
---|---|
ビニール袋をもらわない | エコバッグを持参する、小さな商品であれば袋をもらわずにカバンに直接入れる。 |
ストローを使わない | 「ストローはいりません」と断ればOK。とはいえ、飲料によってはストローなしで飲むのが難しいものもあります。 |
フリース着を頻繁に洗わない(洗うたびにプラスチック繊維が出るため) | フリースを着た後に陰干しすることで臭いを落とすことができるため、洗う頻度を減らすことができます。また、オゾン脱臭などで衣類の臭いを落とすことも効果的です。 |
石油由来の成分で作られた歯ブラシを使わない | 廉価な歯ブラシのブラシ部分は全て石油由来であるため、現実的な対策は難しいです。 |
塗料を使う際はブラシと塗料成分に気を付ける | 頻繁にDIYをやられる方であれば対策の取りようもありますが、壁面の塗りなおしなどを業者任せにしている方は、対策を取るのは難しいでしょう。 |
ペットボトルを使わない、買わない | 自宅から飲み物を持っていく、紙パックや缶飲料を飲むといった対策があります。ただ、ペットボトルの利便性が極めて高いのもまた事実です。 |
自家用車より、公共交通やカーシェアを | 大都市圏であれば、電車や地下鉄、バスが縦横無尽にめぐらされていて、タクシーも捕まえやすいため可能でしょう。逆に大都市圏以外となると、自家用車なしでは生活を成り立たせることは不可能と言ってよいでしょう。 |
日本では、「ビニール袋をもらわない」「ストローを使わない」「フリース着を頻繁に洗わない」「ペットボトルを使わない」「自家用車より、公共交通やカーシェアを(大都市圏のみ)」といった当たりであれば、ある程度は毎日実施することができそうです。ぜひ、できる範囲から始めてみましょう。
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