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アスベストとその歴史

アスベストとその歴史

先日、カフェをリフォームしている場面に立ち会ったのですが、建材の一部に「ニチアス株式会社」という表記がありました。「聞いたことがない会社だな」と思い調べてみたところ、ニチアス株式会社の旧社名は「日本アスベスト株式会社」で、アスベスト(石綿)製造の大手企業でした。

アスベスト、というと「古い建物に使われていて、吸い込んだら危険」という程度はご存知かもしれませんが、そもそもアスベストとはどのようなものか、おさらいしてみたいと思います。

アスベストとは

アスベストとは
アスベストとは

まず、「アスベスト」という言葉ですが、アスベストという物質が存在するわけではなく、いくつかの似た特性を持つ物質の総称として「アスベスト」と呼ばれています。主要なものを上げると、「クロシドライト」「アンソフィライト」「トレモライト」「アクチノライト」「アモサイト」「クリソタイル」などといった物質となります。こうした物質は鉱山から掘り出されて利用されます。

アスベストの日本語訳が「石綿」である通り、これらの物質は常温では石のような固体の形状になっています。しかし、これらは繊維状の物質、それも0.02マイクロメートルから0.35マイクロメートルという非常に細い物質なのです。スギ花粉の大きさが30マイクロメートルなので、それの1/100から1/150程度という大きさです。

アスベストが使われ始めたのは、4000年以上前のフィンランドであると言われています。アスベストを陶器や調理器具の補強用の材料として使ったとされます。その後、ナプキンや王の棺を覆う布(シュラウド)等に使われたという記録もあります。このアスベストの利用が急増するのが産業革命以降です。

産業革命の本拠地であるイギリスにおいて、アスベスト発掘のための鉱山が設けられ、アスベストが大量に掘り出されました。当初は糸の製造に用いられ、その後建築物の断熱材として用いられるようにもなりました。その後は、建材としての用途が広がり、各種断熱材に加えて、難燃性のコーティング剤、コンクリート、レンガ、パイプや暖炉のセメント、床材、屋根材などにも使われています。そしてイギリスだけでなく、世界中で鉱山が設けられ、アスベストの採掘と利用が普及していくことになります。

アスベストが幅広く利用された理由は、(1)価格が安かったこと、(2)効果が高かったこと、(3)加工が容易であったこと、などが上げられています。

なぜアスベストは危険なのか

なぜアスベストは危険なのか
なぜアスベストは危険なのか

アスベストの毒性自体は、実は19世紀末から指摘がされていました。イギリスのアスベスト鉱山がある街では、肺の問題で死亡する人が多かったのです。特に、アスベスト鉱山で働いていた若者の肺からアスベストの痕跡が発見されることもありました。この頃から、アスベストを有害な工業物質として取り扱うという動きが始まりました。

この後も、アスベストを取り扱う労働者の健康被害が徐々に指摘されるようになりました。しかし、アスベスト被害は急性のものでなく、健康被害が発覚するまでに10年以上の年月がかかることが多いため、規制を強化するといった動きには至りませんでした。これは日本だけでなく、他の先進国でも同様です。

この動きが変わってきたのは、医療の発達ならびアスベスト健康被害の経年的な追跡調査の蓄積があったことによります。アスベストの労働者、アスベスト鉱山の労働者、またアスベストを大量に使う現場で働く労働者(造船業など)が、アスベストが原因と思われる肺がん、悪性中皮腫に多く罹患し、この罹患率は一般の罹患率の数倍から数十倍にも上ったためです。

こうした調査報告を受け、アスベストに関する規制が始まったのは1970年代となります。日本では1975年にアスベストの吹き付けが禁止され、2004年にはアスベストを1%以上含む製品の出荷禁止、そして2006年にはこの数値が0.1%にまで下げられています。

アスベストの危険はどのように防げるか

アスベストの危険はどのように防げるか
アスベストの危険はどのように防げるか

アスベストを大量に使った建築物が新たに建てられることは日本ではありません。しかし注意すべき点は多くあります。

1.古い建物の解体
1970年代以前に建築された建物を解体する際に、建材として利用されていたアスベストが飛散します。こうした建築物の解体に携わる場合は、十分な防塵対策を行う必要があります。さらに、アスベストを周辺地域に飛散させない対策も合わせて必要になります。

2.地震などの災害
大地震が起こり、建物やビルが倒壊すると大量の粉塵が飛散します。そして、こうした粉塵の中にアスベストが含まれている可能性があります。よって、災害時に粉塵の中を移動する必要がある際には、粉塵対策を行う必要があります。

3.海外の建築現場
先進国ではアスベストは禁止されていますが、海外の一部の国では引き続きアスベスト製品の生産と利用が行われています。例えば、インド、インドネシア、中国、ブラジル、ロシアといった国です。こうした海外の建築現場を訪れる際は、アスベストを吸い込んでしまわないように防塵対策を行う必要があります。

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