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ミネラルウォーターはいかに生活の一部となったか

ミネラルウォーターはいかに生活の一部となったか

自販機、コンビニ、スーパーなど、今ではどこでも入手することができるようになった、プラスチックボトル入りのミネラルウォーター。そもそも水道水が安心して飲める日本で、ミネラルウォーターはいかにして生活に浸透していったのでしょうか。歴史を振り返ってみましょう。

ミネラルウォーターの5つの性質

ミネラルウォーターの5つの性質
ミネラルウォーターの5つの性質

まずはじめに、ミネラルウォーターの持つ5つの性質について理解しましょう。なお、全てのミネラルウォーターがこの5つを満たしているわけではありません。

1.美味しい水
日本の水道水、特に東京などの都市部の水道水がまずいと言われていた時代、ミネラルウォーターは「水道水よりも美味しい水」として価値がありました。特に東京の水道水は、かつて赤茶色に濁っていたり、変なにおいがする、また無害にするために投入されていた塩素の臭いがきついといった問題がありました。こうした「美味しくない水」ではなく、「塩素臭もなく、透明に澄んだ美味しい飲み水」として、ミネラルウォーターは人気を博しました。

2.どこでも買える水
日本は世界有数の自動販売機大国ですが、「カフェインと糖分がない飲料」はかつて大変少なかったのです。自動販売機と言うと「炭酸飲料」「果汁飲料」「お茶」「コーヒー」が定番ですが、炭酸飲料と果汁飲料は糖分があります。そして、お茶とコーヒーはカフェインが入っています。妊婦であったり、薬を飲むための水であったり、また糖分やカフェインを取りたくないが飲み物を飲みたい人向けの飲料として、手軽にどこでも買えることが支持されました。

3.持ち運べる水
ペットボトルに入っているので、軽く持ち運べる水であることから、例えば旅行やハイキングなどの際の飲み水としても重宝されています。水筒を持って行くと、水筒自体がかなりの重さとなること、また途中で水筒を捨てられないことから、いつでもゴミ箱に捨てられるミネラルウォーターが効率的です。

4.保存できる水
保存できる、という点にも価値があります。水を保存できる年数は、メーカーごとに異なりますが、防災用として何年も保存できる水も販売されています。2011年の東日本大震災を経験した方は、水の確保がいかに重要かを理解されているのではないかと思います。こうした家庭用の保存水として、また企業や公共機関の防災用の水としてニーズがあります。

5.機能がある水
単なる水ではなく、何かしらの機能を売りにした水です。最も有名なものとしては「コントレックス」という硬度の高い水です。軟水に比べて、飲みにくいことから「毎日適量をゆっくり飲んでダイエットしよう」と大ブームになりました。しかし、「アルカリ水」や「水素水」といった、引用による効果がない水も「あたかも効果があるかのように」販売されている、という負の側面もあります。

時代によるニーズの変化

時代によるニーズの変化
時代によるニーズの変化

ミネラルウォーターは、まずは「美味しい水」として大々的に売り出されることになりました。最も初期に一番人気だったミネラルウォーターはアサヒ飲料の「六甲のおいしい水」という商品名であることから分かる通り、「まずい水道水」と「美味しいミネラルウォーター」という対比でした。

六甲のおいしい水
六甲のおいしい水

その後、水道水の味の向上(活性炭フィルター、オゾン除菌などの活用)により、水道水は「美味しく」なりました(例えば東京都では、東京の水道水をペットボトルに詰めて「東京水」として販売しているほどです)。

東京水
東京水

味で圧倒的な差別化ができなくなったミネラルウォーターは、ペットボトル、特に500mlのペットボトルの普及により「どこでも買える」「持ち運べる」という点が大きくアピールされるようになりました。

また、1995年の阪神大震災、2011年の東日本大震災のような大きな地震があると、防災用として「保存できる水」としての注目度が高まります。東日本大震災の後、多くの業者が「防災用品セット」を販売していましたが、その中には「2リットルのミネラルウォーター」が何ダースか含まれているのが一般的でした。

最後に、健康、ダイエットとしての水です。ダイエットや健康食品の多くは一過性のブームとしてやってきますが、このブームに火が付いたときに爆発的な売れ行きを記録するのが2010年代の「コントレックス」「水素水」といった商品です。

市場の急拡大の光と影

市場の急拡大の光と影
市場の急拡大の光と影

画像:日本ユニセフ協会
このように、時代による変遷とニーズの変化を経ながらもミネラルウォーター市場は急拡大を続けてきたのです。古い統計ですが、2006年には600億ドル産業になっています。現在は全世界的な人口の増加、ならび経済成長により産業規模がより大きくなっていると推測されます。

しかしながら、地球レベルでみると問題も指摘されています。日本ユニセフ協会の発表では、全世界では安全な水にアクセスできない人が10億人以上いるとされています。これらの人たちは、所得が低いためミネラルウォーターを購入できないため、安全でない河川の水を飲むなどして、結果命を落としているのです。例えば、サハラ以南のアフリカでは、子供たちの43%が汚染された水を飲まざるを得ない環境で生活しており、このため5人に1人が15歳になる前に亡くなっています。水という人間の安全に不可欠なものが、資本主義にガッチリ組み込まれた商品になっているが故の悲劇ともいえます。

こうした国々では、生水をそのまま飲めないまでも、煮沸すれば問題なく飲めるレベルでの水道網の整備であったり、生活必需品としてのミネラルウォーターの援助といった国際協力の枠組みが求められているのかもしれません。

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