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年間50万人の未成年が死亡?!深刻化するインドの大気汚染

年間50万人の未成年が死亡?!深刻化するインドの大気汚染

日本に住んでいると「中国の大気汚染・PM2.5」はよく話題に上るトピックですが、中国と同じくらい、いやそれ以上に大気汚染が深刻な国があります。それはインドです。以下では、インドの大気汚染の現状について追います。

推奨値を17倍以上上回る汚染

推奨値を17倍以上上回る汚染
推奨値を17倍以上上回る汚染

2017年10月に、インドの大手経済紙であるMintが「PM2.5による大気汚染で50万人の未成年インド人が死亡」というショッキングなニュースを報じています。報道によると、2015年には21か国のアジア諸国で、大気汚染を原因として190万人が亡くなっているとされて、これによる経済損失は1290億ドル (約14兆円)にも上ります。

世界保健機構 (WHO) では、PM2.5の濃度は1立法メートルあたり10g以下であるべきとされていますが、インド全体のPM2.5平均濃度は約6倍の1立法メートルあたり59g、そしてインド北部の大都市、グワリエルの平均濃度は1立方メートルあたり176gと、インド平均の約3倍、WHO推奨値の17倍以上という驚くべき汚染度合いとなっているのです。グワリエルは、大きな製造業の工場が多数あることが、その原因の一つです。

PM2.5を一時的に大量に吸い込んだとしても、急性の症状が現れるわけではありません。PM2.5が肺の奥深くに到達し、血液に吸収される、そしてこうした日常が恒常的に続くことにより、呼吸障害、心臓疾患や肺がんを引き起こします。別な研究によると、インド人の肺機能はヨーロッパ人の平均と比べて30%低いとされています。

インドの大気汚染の原因とは

インドの大気汚染の原因とは
画像:eedu.jp

では、なぜインドはこれほどまでに深刻な大気汚染に見舞われているのでしょうか。主な原因は以下の通りです。

1.家庭用燃料
インドではいまだ、多くの地域で薪が使われています。インドは高温の地域が多いため、これらの薪は「暖を取るため」ではなく「調理用の燃料」として使われているのです。私たちが普段使っているガスコンロ、IHコンロではなく、調理用ストーブという器具があり、これを薪により加熱して調理しているのです。

薪だけではありません。「乾燥した牛の糞」「農業廃棄物」といったバイオマス燃料も使われています。インドはこれらのバイオマス燃料の最大の利用国とされています。

薪とバイオマス燃料と聞くと、「自然にやさしいのではないか」という印象を持たれるかもしれませんが、これらは高レベルの煙、PM2.5、NOx(窒素化合物)、SOx(硫黄酸化物)などを排出するため、他の燃料と比べて著しく環境汚染度合いが強いのです。

2.自動車の排気ガス
先進国の自動車もかつては硫黄酸化物が排出されるなど、現在に比べると危険な排気ガスを出していました。何十年という期間をかけて、徐々に規制が強化されていくことで、現在では先進国の都市の大気汚染は解消に向かっています。

しかし、インドの自動車では排気ガスをきれいに保つための触媒コンバーターの搭載を義務付けてきませんでした。インド政府は2005年にようやっと重い腰を上げて規制強化に乗り出しましたが、規制強化以前に製造された自動車は現在でもそのまま走っているため、その効果はまだ限定的です。

3.自動車燃料の品質
インドを含む南アジア地域では、自動車燃料は「ガソリン」と「ディーゼル」を混合したブレンド燃料が一般的です。このブレンド燃料がなぜ存在するかというと、インドの燃料に対する税制の仕組みのためです。通常の燃料では高い税金が必要となるが、ブレンド燃料であれば税金が安いのです。この抜け道となっているブレンド燃料は安価であるため非常に人気がありますが、通常の燃料と比べて汚染物質の排出量が多いという問題があるのです。

インドは大気汚染を解決できるのか?

インドは大気汚染を解決できるのか?
インドは大気汚染を解決できるのか?

こうした多くの課題がある中、インド政府は大気汚染を減少させることができるのでしょうか。実は、ここ15年の変化を見る限り大幅に改善がみられています。PM2.5よりも大きなPM10については、1995年に1立方メートルあたり109gあったのが、2008年には11gまで減少しています。

この減少に寄与したのが、「経済発展」ならび「規制改革」となります。経済発展により税収が増加し、より国民の健康安全に考慮した対策を取ることができるようになってきているのです。

とはいえ、PM10よりも害が大きいとされるPM2.5については、まだまだ課題が残ります。2014年に世界保健機関は、インドの首都であるニューデリーが世界で最も汚染された年だとの発表を行っています。

今後の対策としては、先進国の科学技術を導入し大気汚染対策を行う、規制を強化して一定基準を超える工場の稼働を許さないなどの対策が考えられます。そして、最終的にはきれいな空気を実現することでしょう。しかし、規制を強化しすぎると経済成長に歯止めがかかるというデメリットもあります。経済成長と国民の安全のバランスをどう取っていくか、悩ましい日々が続きます。

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