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原子力発電所受け入れの代償?電源三法交付金とは

原子力発電所受け入れの代償?電源三法交付金とは

過疎地の海沿いを車で走ると、突然立派な施設を目にすることがあります。「こんな過疎地に、なぜこんな立派な建物があるのだろう。人もそこまで多くないのに」と思ったことはありませんか?実は、この裏には原子力発電所が隠れています。

電源三法交付金=迷惑料

電源三法交付金=迷惑料
電源三法交付金=迷惑料

日本海に面した新潟県柏崎市は、人口8万6000人の小都市です。この柏崎市のホームページには「総額 1,658億円」と記載された「電源三法交付金実績」というページがあります。この金額は1978年からの合計金額であり、ここ数年は年間50億円台で推移しています。柏崎市の一般会計が485億円 (2017年度) であることから、相当の規模の金額となります。市民一人当たりに換算すると、年間5万8000円にもなります。

なぜ柏崎市が年間50億円もの交付金をもらえているか、その理由は東京電力が運営する世界最大の原子力発電所「柏崎刈羽原子力発電所」があるためです(発電所の敷地は柏崎市と刈羽村の両方にまたがるため、両方の自治体の名前が入っている)。

2011年の東日本大震災、そして付随して発生した福島第一原子力発電所事故から分かる通り、何十年と何の問題もなく運営されてきた原子力発電所であっても、大きな事故を一発起こしてしまうと、放射性物質による汚染のためその地域に人が住めなくなる、また深刻な健康被害を発生させる危険性があります。

電源三法交付金を簡単にいうと、「原子力発電所は必要。だけど、大事故が起こると被害が甚大な大都市に設置することはできない。よって過疎地の自治体にお金を払うので設置させてください」という迷惑料です。

「ベストミックス」の結果としての原発推進

「ベストミックス」の結果としての原発推進
画像:四国電力

原子力発電所による発電は、福島第一の事故発生、そしてその後の稼働停止に至るまでは日本全体の3割から4割の発電量を担ってきました(2017年現在、ほとんどの原発が稼働停止しており、原発の発電比率は1%程度となっている)。

1972年と1979年の二度のオイルショックにより、石油火力発電所に依存していた日本の電力会社、ならび日本経済は大きな打撃を受けました。発電方法を1つの種類に依存することは、交渉力が弱まるため経済並び安全保障の観点から大変危険であることから、政策として原子力発電所の増設を行いました。結果、現在では沖縄電力を除く9電力会社(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力)、ならび国策によって設立された特殊会社が原子力発電所を保有しています。

石油火力発電依存からの脱却は、「様々な発電方法をバランスよく組み合わせる」という意味で「ベストミックス」と呼ばれました。福島第一の事故がなければ、この政策は現在も問題なく続けられていたはずです。

「ハコモノ」は癒しと踏み絵

「ハコモノ」は癒しと踏み絵
「ハコモノ」は癒しと踏み絵

ベストミックスを推進する上で、原発を巡り地方自治体において常に論争が生まれました。「地域経済を交付金により豊かにしたい」「原発設置により雇用が生まれる」ことに期待をかける原子力発電受け入れ推進派と、「何かあったときには安全が保障されず危険」とする受け入れ反対派です。原発立地候補となった自治体においては、推進派と反対派が真っ二つに割れて、住民同士の対立が激化することも日常茶飯事でした。そして、選挙において推進派が勝った自治体が原子力発電所を誘致していったのです。

原発推進派が勝って原発が設置されたとしても、多くの反対派はそのまま住み続けています。こうした人たちを形の上だけでも納得させるには、分かりやすいハコモノが必要となりました。例えば、高齢者向けの無料温泉施設、若者向けのスポーツ施設といったものです。

これらのハコモノの多くが、自治体の規模に比して不相応なほど立派なものが多いのも、「原発を誘致した結果、こんな立派な建物を建てられた。誰でも無料で使えるのは原発のおかげ」という分かりやすいメッセージを送るためでしょう。

もちろん、反対派の人たちは「立派なハコモノができたから原発を誘致してよかった」というほど単純ではありません。しかし、一度でもハコモノを利用してしまったら、「原発の恩恵を受けていない」とは言えなくなります。ハコモノは住民を癒すとともに、ある種の踏み絵として役割があるのです。

稼働しなくても交付金は入る

稼働しなくても交付金は入
稼働しなくても交付金は入

現在、多くの原子力発電所は「定期点検中」という名目のもと、稼働停止に追い込まれています。原子力発電所を稼働させていない時は、原子炉の中に燃料のウランは入ってしませんし、地震などが起こっても放射性物質が飛散することはありません。

そして、原発は稼働していようがいまいが、そこにあるだけで交付金が支払われるのです。原発を抱える多くの地方自治体は、原発の再稼働に反対していますが、交付金はちゃっかりもらってしまっているのです。原発を抱える自治体のほとんどは過疎地で、交付金ありきで自治体の歳出が組まれているため、交付金なしでは財政が成り立たなくなっています。

今後原発が再稼働するのか、それとも再稼働せずに交付金が支払われ続けるのか、それとも稼働なくして交付金なし、と改められるのか。今後の動向に注目です。

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