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カーボンオフセットとは何か?

カーボンオフセットとは何か?

2000年代後半、地球温暖化防止のために、日本並び先進国企業がどのように取り組めばよいのかについて議論があり、その中で出てきた概念に「カーボンオフセット」というものがあります。カーボンオフセットとは何か、そして最近耳にしなくなった理由についても、以下で説明します。

カーボンオフセット=温室効果ガスを別の形で減らす考え方

カーボンオフセット=温室効果ガスを別の形で減らす考え方
カーボンオフセット=温室効果ガスを別の形で減らす考え方

地球温暖化を防ぐためには、企業活動により排出される温室効果ガス(二酸化炭素がメイン)を削減する必要があります。しかしながら、大きな技術革新でもない限り、企業活動における温室効果ガスを大規模に削減することは事実上困難です。

例えば、A社は事業として1日1万個のチョコレートを生産し、従業員が30人働いているとします。例えば、温室効果ガスを排出を半分にするような革命的な生産ラインでもあればよいですが、残念ながらそのようなものは簡単に出てきません。また、チョコレートの生産量を半分の5000個にすれば、温室効果ガスはかなり減少するかもしれませんが、企業活動が立ち行かなくなります。

このような場合、「企業活動だけでは温室効果ガスはこれ以上減らせない」という限界が見えてきます。そして、この限界以上に減らすことを求めらている場合、「チョコレート工場の生産活動だけでなく、別な形でもいいので総量として温室効果ガスを減らせばいいのではないか」という考えがでてきます。これがカーボンオフセット(二酸化炭素の埋め合わせ)です。

カーボンオフセットを用いた温室効果ガス「削減」方法

カーボンオフセットを用いた温室効果ガス「削減」方法
カーボンオフセットを用いた温室効果ガス「削減」方法

ここでは、カーボンオフセットを利用してどのように温室効果ガスの排出を減らす方法があるかについて見ていきましょう。

1.植林・森林保護活動
企業の社会貢献活動によく登場する植林活動です。木を植えて育てることで、木々が二酸化炭素を吸収してくれるという効果があります。例えば、温室効果ガスの排出枠が100なのに、企業の生産活動ではどうしても105までしか減らせない。あと5足りない、という事態になった際に、植林を行うことで、この5を減らし、100の排出枠内で収める、というように用いられます。

また、積極的に木々を植えるのでなくても、既存の森林を保護して木々の成長ならび二酸化炭素の吸収を促す活動もカーボンオフセットだと見なされます。

2.排出権取引
温暖化対策を行った企業、他の企業や政府に温暖化対策支援を行った企業などは、温室効果ガス削減への貢献として排出枠を得ることができます。この排出枠は他の企業に販売することができるのです。

つまり、多く削減した企業は排出枠を得て、削減できない企業に対して排出枠を販売するという経済的なインセンティブ、排出権取引を持ち込んだのです。先ほどの例だと、排出枠内で5足りない企業は、相当分の排出枠を購入することで、排出枠内で収めることもカーボンオフセットとみなされます。

カーボンオフセットが下火になった理由

カーボンオフセットが下火になった理由
カーボンオフセットが下火になった理由

しかし、2017年現在ではこのカーボンオフセットはすっかり下火になってしまっています。日本政府もこれまで開設してきた多くのカーボンオフセット関連のホームページならびその事務局を閉鎖しています。理由は以下の通りです。

1.東日本大震災
2011年の東日本大震災により、日本のエネルギーに対する考え方は急転換しました。つまり、温室効果ガスがより多く排出されたとしても、原子力発電所がなくなるほうがよいという考えになったのです。原子力発電所の運営がストップされ、温室効果ガスの排出が多いが原子炉溶融が起こらない天然ガス火力発電に急速にシフトしました。

2.守られなかった京都議定書
1997年の地球温暖化防止京都会議、通称COP3は、先進国が温室効果ガス排出削減の数値目標を設定するという画期的な合意で幕を閉じました。しかしながら、それから10数年が経過して、この数値目標は達成できた国(ホスト国の日本など)とできなかった国(アメリカや、途中脱退したカナダなど)で大きな格差が生じ、結果その後国際的に温室効果ガスの削減の機運が盛り上がらなくなりました。

3.トランプ政権の誕生
2017年に就任したアメリカのトランプ大統領は、前大統領のオバマ氏とは異なる政策を打ち出していました。すなわち、地球温暖化に確たる証拠はなく、アメリカが積極的に取り組むべき課題ではないということです。これまで地球温暖化に対してやや冷めていた世界各国の活動は、トランプ政権誕生によりとどめを刺されたといってよいでしょう。

このように、日本政府が旗振り役となって2000年代後半に盛り上がったカーボンオフセットはすっかり忘れられた存在となってしまいました。今後、カーボンオフセットが再び盛り上がるためには、地球温暖化がより深刻な課題として浮上する、アメリカ大統領選でより環境問題に熱心な大統領が就任するなど、大きな変化がない限りは難しいと思われます。

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