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淡水化プラントとそのビジネスについて理解する

淡水化プラントとそのビジネスについて理解する

日本は水が豊かな国で、「水と安全はタダ」と評されることさえあります。しかし、海外の多くの国では、安全はもちろんのこと、水もただではありません。水を得るのに苦労して国の一部は、淡水化プラントを利用して真水を作り出しています。以下では、淡水化プラントについて説明します。

海水から真水を作る=淡水化プラント

海水から真水を作る=淡水化プラント
海水から真水を作る=淡水化プラント

淡水、とは普段は耳にしない言葉ですが、鹹水(かんすい)に対比して用いられます。鹹水とは、塩分を含むミネラルの濃度が高い水で、これに対して淡水は塩分・ミネラル濃度が低い水となります。なお、淡水は真水とも呼ばれます。

塩分濃度が高いため、海水は飲用には適しませんし、飲用以外の生活用水にも使うことができません。このため、塩分やミネラルを除去し、飲用や生活用水として使える淡水を作り出すのが淡水化プラントとなります。

なお、淡水化プラントを用いて淡水にするだけでは、水を飲用・生活用水として利用することはできません。塩分やミネラルは除去されていますが、殺菌されておらず、有機物も除去されていないためです。よって、淡水となった水は浄水場で行われるような浄水処理(有機物の除去、オゾン除菌ならび脱臭、活性炭フィルターの利用、塩素処理など)を行って初めて飲み水、生活用水となるのです。

淡水化プラントは巨大プロジェクト

淡水化プラントは巨大プロジェクト
淡水化プラントは巨大プロジェクト

水資源の乏しい国にとっては淡水化プラントから作り出される水は、文字通り国民の生命線となります。そして、一国が淡水化プラントを稼働させるということは、それにより何十万人、何百万人に届けられる水となることを意味します。つまり巨大な公共事業となります。

多くの先進国では飲用に耐えられるだけの水道が普及しているため、淡水化プラントの需要の多くは新興国となります。特に、水資源が乏しいが資金力のある国、例えば石油産出国で歳入が多い国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、チュニジア、オマーンなどで日本企業がプロジェクトを行っていることで有名です。

淡水化プラントは、プロジェクトの規模が巨大かつ複雑であるだけでなく、新興国政府と直接のやり取りが生じるという性質上、プロジェクトを受注するのは大手総合商社、大手エンジニアリング会社、総合電機メーカーに限られます。そして多くの企業や部品メーカーがサプライヤーとしてプロジェクトに参加することになります。ビジネス規模も大きく、数十億円単位のビジネスになるもの当たり前で、大きなものになるともう一桁増えることになります。

技術よりも顧客ニーズの理解が必要

技術よりも顧客ニーズの理解が必要
技術よりも顧客ニーズの理解が必要

経済産業省の資料によると、淡水化プラント(海水淡水化設備)は2014年を底に、年々成長を続けていくと見込まれ、2018年には2014年の約3倍の市場規模(1.1兆円規模)と推察されています。

しかしながら、日本企業は淡水化プラントを含めた水関連のビジネスにおいてシェアは非常に低く、経済産業省の調査では海外の淡水化プラントでは4.6%しかビジネスを獲得できていません(プライムコントラクターになれていない)。「成長する市場でシェアが取れていない」ため、調査からは強い危機感が伺えます。

具体的には、日本企業の多くは技術先行型となっており「よい技術を作ったから売れるはず」という理解のもと、顧客のニーズを理解していないことが問題だとされています。

淡水化プラントの部品メーカーであれば、プロジェクトを日本企業が取ろうが、海外企業が取ろうが、どちらにでも部品を販売できるので関係ありません。しかし一番大きな利益が落ちるのはプロジェクトのプライムコントラクターです。プライムコントラクターになるためには、技術力に加えて、プロジェクトマネジメント力、資金力(ファイナンス)、リサーチ力、現地政府とのコネクション、人材など、多面的な力が必要となります。このため、経済産業省などが中心となって、ファイナンスとリサーチに関して、ODAとも絡めての支援を行っています。

「総合力で勝負」できるか

「総合力で勝負」できるか
「総合力で勝負」できるか

日本企業は、ニッチな技術力や部品の品質などについては高く評価されていますが、総合的なプロジェクトマネジメント力になると急に存在感をなくす、と言われることが多々あります。例えば、三菱重工の子会社である三菱航空機が製造しているMRJも、そのプロジェクトマネジメント力の低さから、既に当初予算を倍以上超過していると言われます。

淡水化プラントにおいて、日本企業が存在感ある地位を築けるのか、それとも一サプライヤーとしての立場を超えられないのか、この数年が勝負といってよいでしょう。

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